伝統とする民族:バガ人(Baga) 地域 :ギニア西部、ボケ地方 『カキランベは、バガ人にとって重要な仮面の一つで、年に 一度しか現れない。カキランベの精霊は、悪い精霊に対する 守護精霊として崇められている。彼は、現在や未来についての 重要な啓示を人々に与えるために、仮面に体を借りて現れる。 カキランベの神官は、その仮面が発する啓示を翻訳するという 役割を持っている。なぜなら、仮面は直接に人々に語りかける ことができないからだ。
仮面が現れる日は、一大イベントだ。村のものすべてが 彼の言葉を聞くために集まる。やがて、神官たちに守られて、 仮面がゆっくりと森から出てくる。人々はすでに集まって、 じっと待っている。すべての人がひざまずき祈りを捧げると、 仮面はなんと5mの高さにまで昇るのだ。仮面にはロープが 結ばれていて、一方は村の各々の家に、もう一方はその家族の メンバーに結び付けられている。
テンポが速くなってくると、神官たちと数人の老人たちが 仮面の周りで踊り始める。その時に仮面は予言を一人の神官に伝え、 その神官がミュージシャンにサインを送ると、ミュージシャンは ブレイクを演奏し、リズムはゆっくりと、そしてソフトになる。 その間に、神官は、仮面から授かった予言を翻訳して人々に伝える。 その予言とは、たとえば、この先、旱ばつや洪水が起こるかどうか、 あるいは、米の収穫量は高いかどうか、などといった内容である。 そのほかにも、子供たちがずっと健康でいられるかどうか、 男たちが健康でいられるかどうか、そして、最後に、それぞれの 者がどのような供物をこしらえ捧げればいいかを人々に伝える。』 ---------------------------------
カキランベは、ギニア海岸地域(ボケ地方)に住むバガ人の 仮面舞踊である。もともとは、ジェンベによく似た形の、 バガ人の独特のドラムで演奏されていた。
“古来より、バガ人にとって畏怖の対象であったカキランベは、 時代の変化に連れて、近年ではただの伝承に過ぎなくなってきている。 しかし、何世紀にも渡って、彼はバガタイ(バガ人?)の生活を 取り仕切ってきた。というのも、彼は水や雨の精霊であり、 同時に風や炎の精霊でもあるからだ。 7年ごとに、彼は神聖なる森から現れ出て、村へやってくる ことになっている。雷のごう音と、神官たちの大声によって、 カキランベの村への到着が知らされる。広場には、彼を崇拝する 村人たちがすでに大勢集まっていて、彼は預言者を通じて、 村人たちと会話をすることができる。
はじめに、彼は美徳や倫理の精神に欠ける振る舞いをしている 者たちに対して怒りをあらわにする。そのことは、彼が小さく 縮んでしまうことによって示される。人々は、自分たちが強く 後悔し反省していることを示すために、地面に這いつくばって、 彼に許しを乞い、服従を誓う。 「カキランベよ! どうぞ、起き上がりください (怒りを鎮めてください)!」 やがて、祈りが通じ、カキランベは、人々を安心させるため、 喜びながら大きく伸び上がり、再び元の大きさを取り戻す。これは 彼自身のある意思表示だ。すなわち、バガタイの子供たちの父親、 祖父らが自分たちの子供を大切に思っているのと同様に、彼自身も また子供らの守護精霊であることを示しているのだ。そして、この先の 7年間の村の幸福と繁栄を予言して、演奏とダンスが喜びにあふれ、 クライマックスを迎えると、彼はまた7年後のこの日まで森に姿を 隠すのだ。
さて、「7年間、大地は栄え、女たちは子供に恵まれるだろう。」 カキランベは、そう言った。しかし、それが現実になるかどうかは、 まず、男たちの努力によると言ってもいい。そして、聖なるドラム “セングベ(Sengbe)”の力に。そこで、男たちは踊る。 彼の力強さを、信頼を、村のしきたりを大切にする、正しい 決断力を、そのダンスによって表現するのだ。
そして、その7年間の幸福の始まりとして、カキランベは 人々に約束する。多産の女神が、突如現れるだろうと。それは、 とても豊かな乳房を備えており、ニンバ(Nimba)と呼ばれる。 それを聞いて、男たちは嬉しさのあまり大声をあげ、もうすぐ 結婚することになっている女や娘たちは捧げものを持ってきて、 次のようなことを唄う。 「おお、ニンバの神よ。 子供のいないお腹ほど、むなしいものはない。 まるで、風の強い砂漠の中の灰のように、 山火事の中のたった一枚の木の葉のように。 おお、ニンバ。多産の女神よ。 ちりの中から甘い樹液を出すというニンバよ。 私の胸が、あなたのように大きくならんことを。 私のお腹が、バガの子孫を宿さんことを。」
そして、このクライマックスの熱狂の中で、バガの男たち、 女たちは宗教的とも言える、我々は神に守られているのだ、 という精神的、かつ強固な一体感を得るのである。” (ギニア国立舞踊団の世界ツアー時のリーフレットより抜粋) “バガ人は非常に人口の少ない民族で、ギニアに住んでいる バガ人はわずか32,000人ほどしかいない。 フレデリック・ランプ教授は、自身の著書「バガ人の芸術」 (1996年)の中で書いている。カキランベのことをバガ人自身は "a-Mantsho-`no-Pon" と呼んでいて、「(バガ人の中の) シテム人の究極の男性の精神」であると考えている、と。 また、カキランベという言葉は、本来スス語で、 「コパルの木のように高くまで届く」という意味を持っている、 とも書いている。”
カキランベのリズムを伴奏にして歌われる唄は、 10種類以上あるが、ここには、カキランベが村へやってくるのを 歓迎する唄を紹介する。 Mai'm bo, mai'm bo mama, mai'm bo Kakilambe kekumbe --------------------------------- Jajaja Kakilambe - Jajaja Subwalalej Majimbo, Majimbo mama ... Majimbo, wo Kakilambe chei bumbeh Tiambo, Tiambo mama ... Tiambo, wo Kakilambe chei bumbeh --------------------------------- region: (低ギニア) カキランベは、森を守る精霊の仮面である。カキランベを 目にすることができるのは、成人のダンサーだけといわれている。 仮面が森からゆっくりと現れ、その成人のダンサーと会話を交わして、 森、そして村の安全、あるいは生存、保存のために何をすれば いいのかを、彼に話すのである。